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顕熱 -
鐘の音(仮題)

神殿

街の中心からやや外れた場所。どこまでも暗い闇の中に、白い建物がぼんやり浮かぶように建っていた。不気味な雰囲気だった。 「久しぶりに来た」 「私も」  シイはあたりに立ち並ぶ柱を調べ始めた。暗くて細部はよく見えない。しかしそれは、遠めでも分か...
鐘の音(仮題)

買い物後

広場にはほとんど人がいなかった。あたりは既に暗くなっている。シイは俺の持つ袋の中を覗いた。 「これで全部よね」 「そうだな」  シイはうなずいた。彼女は買い物中ずっと何か考え込むような顔をしていた。 「さっきの音」 「うん」 「何だったんだ...
鐘の音(仮題)

重いものが擦れあったような音だった。それはしばらくの間鳴り続けた後すっと消えた。辺りはさっきまで以上の静けさが広がっていた。窓から外を覗く人が見えた。何も変わった様子はない。アンさんと目が合った。 「びっくりした。今の何?」 「さあ」  ア...
鐘の音(仮題)

アンさん

「いらっしゃい」  女性は笑顔で手を顔の横にあげていた。 「アンさんだ」 「本当だ。アンさん、こんにちは」  シイは横で小さく頭を下げた。 「久しぶり?でもないわね。パン買いにきたの?」 「はい、新しいのが置いてあるみたいだったので」  そ...
鐘の音(仮題)

街の広場には中央で佇んでいる人や、忙しなく歩いている人がいた。シイはその中央あたりに立ち止まると、懐から先ほどの紙に目を落としている。 「最初はお肉かしら」シイは大きな通りを進もうとしていた。 「そうなんだが、その前にこっち」  シイは少し...
鐘の音(仮題)

二人の散歩

扉を開けると、外はオレンジ色に染まっていた。シイは花壇の横にしゃがみこんで、そこに咲いている花を撫でていた。 「行こうか」 「うん」  シイは笑顔を向けると、すっと立ち上がった。 「ちゃんとお水あげているのね」 「ああ」 「でもちょっとあげ...
鐘の音(仮題)

ユウの家で

白い光が暗い部屋を照らしている。机の向こうには一体の白い人形。下を向いている顔は彼女の前髪に隠されている。水が流れる音、カチャ、カチャ、と何かがぶつかる音が耳を障る。
NESエミュレータ

NESエミュレータ開発記録(環境構築編)

はじめに  この記事は、管理人がNESエミュレータを作成する中で、引っかかったことやすぐに情報が見つからなかったことをまとめたものです。 動機  2024年現在、ネット上ではたくさんのNESエミュレータの開発記録や仕様をまとめてくれたweb...